数学全般

整数問題を解くための考え方その3~有限区間に有限個~

整数問題を解くために必要な有限区間に有限個って何??

さて、この回では前の記事にあるように整数特有の性質を使った具体的な問題への応用の仕方について触れていきます。これら一連記事を読めばどんな整数問題にも対応できる考え方を獲得できます!

前の記事が前提になっているのでまだ読んでいない方はまず以下の記事をご覧ください。
参考) 整数問題の解き方は??どんな整数問題も解ける重要な考え方は4つ!
参考) 整数問題を解くための考え方その1~約数と倍数~
参考) 整数問題を解くための考え方その2~余り~

今回のテーマは整数特有の4つの性質のうちの1つの有限区間に有限個について扱います。有限区間に有限個は約数倍数や余りなどと違い聞き馴染みがないですね。

ここでは何を言っているかと言うと例えば
$1\leqq x\leqq 3$
というように不等式で $x$ の範囲が決まっているとしましょう。

このとき $x$ が実数なら $x$ は無限に可能性があります。しかし $x$ が整数なら $x$ の可能性は $1,2,3$ の3つに絞られます。つまり整数であれば区間が有限に絞られれば有限の個数しかないのでそれによって答えを絞ることができます。

これが有限区間に有限個という整数特有の性質になります。整数特有の性質なわけですから当然整数問題を解くためにこれを使うということはこれまでと同様で論理的に当然なことになります。

整数問題を解くために有限区間に有限個を使った式変形や考え方をするには?

問題の中で有限区間に有限個の性質を使おうとするときにすることは単純です。基本的には範囲がありそうな文字について不等式を作って有限区間に絞ろうとすれば良いです。

ポイントはそもそもその文字に「範囲がありそうかなさそうかの判断」ですが、これは極端に大きな値や極端に小さな値などを入れることで簡単に感覚がつかめます。

たとえばこの一連記事で扱っている
【問題】$x,y$ は0以上の整数として、$xy-2x-y-2=0$ を解け。
などの問題ならとりあえず
$0\leqq x\leqq y$
としてみます(有限区間に有限個の性質を使いたいときはこのように文字の大小を設定すると良いです( $0\leqq y< x$ のパターンはまた別に調べれば良いです)。

このとき $x$ を $100$ くらいにすると、$0\leqq x\leqq y$ より $y$ は小さくても $100$ なので左辺に入れてみると
(左辺) $=100\times 100-200-100-2=9698$
となり明らかに左辺が大きくなりすぎるので右辺の0になることはないため $x$ に範囲がありそうと分かります。$0\leqq y< x$ の場合は同じようにして考えれば、$y$ に範囲がありそうと分かります。

実際に整数問題を有限区間に有限個の考え方で解いてみよう!

ここで以下の問題を考えてみましょう。
【問題】$x,y$ は0以上の整数として、$xy-2x-y-2=0$ を解け。

整数問題の一連記事ではこの1つの問題を整数特有の4つの性質を使い4つの別解を出しています。もちろん今回は4つの性質のうちの1つの有限区間に有限個です。

ちなみにはじめに1点注意ですが本来この問題は、余りの性質と同様で相性があまり良くなく解きにくいです。そのため、教科書などで紹介もされていない解き方ですし、参考記事の約数倍数の性質などの方が簡単に解けます。

それにも関わらず何故そのような解き方を試みるかと言うと「整数問題」というものが「整数特有の性質」で解けるというところを強調したいためです。もちろんその整数問題が問題構造上、整数特有の性質のどれかでしか解けないなどの可能性はありますが、これはやってみてはじめて分かることです。

では問題を解きましょう。先の見出しで $0\leqq x\leqq y$ のときに $x$ に範囲がありそうとまでは分かったので $x$ だけの不等式を作ってみましょう。

例えば $x\geqq 1$ のとき( $x=0$ は別で確かめれば良いです)
$0=xy-2x-y-2$
$=(x-1)y-2x-2$
$\geqq (x-1)x-2x-x$ (最初に $x\geqq 1$ としたのはこの不等式を成立させるためです)
$=x^2-3x-2$

とできて $x^2-3x-2\leqq 0$ というように $x$ だけの不等式が作れます。
これを解けば
$\displaystyle \frac{3- \sqrt{17}}{2}\leqq x\leqq \frac{3+ \sqrt{17}}{2}$
となります。

これを満たす整数 $x$ は $x=1,2,3$ しかないため、この $x$ をもとの式の $xy-2x-y-2=0$ に代入して $y$ を出せば答えが出ます。$x=0$ もこのタイミングで確かめてしまえばよいでしょう。

あとは $0\leqq y< x$ のときは $y$ に範囲がありそうなので同様の流れでやっていけば $y$ が絞れて $x$ が求まります。

それらを合わせて最終的な答えの $(x,y)=(2,6),(3,4),(5,3)$ が求まります。

見て分かるようにこの解法は「不等式を作る際の式の扱い」や「場合分けの多さ」など数学の扱いが約数倍数などよりも色々ありやや難易度が高くなっていることが分かります。これは問題構造上の有限区間に有限個という整数特有の性質との相性の問題によるものです。

ここで重要なことは約数倍数などと同様で整数問題における変形はかなり強引でも意味があるという点です。ここで行う一連の変形は整数問題ではない実数の範囲の問題では意味不明な変形ですし、むしろやっても何の意味もなく良くないというレベルの式変形です。

つまり数学の式変形は整数問題に限らず解く問題や考え方によって正しいものであったり間違ったものになったりします。整数問題の変形は整数問題以外では意味のない変形も多いので注意しましょう。逆に整数問題において有限区間に有限個の性質を使いたい場合は不等式で範囲を絞ることが重要な変形です。

整数問題を解くための有限区間に有限個の考え方のまとめ

さて有限区間に有限個の考え方のまとめになります。
・有限区間に有限個は整数特有の性質で、これを用いることで整数問題に対して1つの論理的なアプローチがとれる(整数特有の性質4つのうち毎回これが使えるとは限らないが、この4つのいずれかもしくは組み合わせでは解ける)。
・整数問題において有限区間に有限個の性質を使いたい場合は範囲がありそうな文字の不等式を作り、値を絞ってそれを全て調べる。
・ある文字に範囲がありそうかなさそうかは極端な値などを入れてみると簡単に判断できる。

ということになります。整数特有の4つの性質のどれが問題に相性が良いかなどは問題によるのでやってみないと分かりませんが、少なくとも4つの具体的方針や式立てがあることは分かっているのでこれらをマスターすることで整数問題は解ける様になります。

今回も本質的なところはしっかりと書いてみましたが、話したいことはもっと色々とあります。実際の授業を受ければより深い理解に繋がることは間違いないので、気になる方や整数を極めたい方は以下から大岡山学習会へお問い合わせください。独学の人はこれらの記事を参考に演習することでこれまでと違った学習になると思います。

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