数学全般

論理と命題の問題の解き方は??「ならば」の命題や反例がよく分からない人や解けない人必見!!

命題とは何か?命題の問題の解き方は?

こんにちは。アインシュタイン太郎です。
今回の記事は「命題」や数学用語「ならば」の意味、そして「ならばという用語が絡んだ命題」などをテーマに解説をしていきたいと思います。数学の分野としては「論理と命題」という分野になります。

この内容は数学の本質の「論理的思考」が存分に活用された分野なので非常に面白いです。また数学という学問の根幹の超重要分野であり、当然大学受験数学にとっても大事です。

それほど数学として重要なわけですが、記事自体は前提となる数学知識はいらないので、誰でも読める内容になっています(ただ論理的思考は必要ですよ!)。是非楽しんでみてください。

さて、それではこの記事のメインテーマの命題とは何かですが、命題の用語の定義は以下になります。
命題$\cdots$正しいか正しくないかがはっきりと決まる文章や式
これが命題です。正しいときを数学用語で「真」、正しくないとき「偽」と言います。

命題の具体的な例は
「身長180センチは身長190センチより高い」
などは命題です。

これは当然文章としては間違っていますが、正しいか正しくないかがはっきりと決まるので命題です。そしてこの命題の真偽は当然偽になります。

命題ではない具体例をあげると
「身長190センチは背が高い」
などです。

これは普通に考えれば、190センチは背が高いですが、「背が高い」ということには基準や定義がありませんので文章として正しいか正しくないかははっきりと決まりません。そのためこれはそもそも命題ではありません。なので数学という分野の中ではこのような文章を真か偽か判断することもしません。

大学受験数学では基本的に命題のみを扱い、その真偽はどちらかに確定しているもののみを扱います。まぁそもそも命題かつ真偽が確定していなければ答えというものが出ませんので、大学受験でそのようなものを扱うのは当然のことですね。

ということで、まずここまでが命題の説明です。数学としての根幹であるにも関わらず全然数式が出てこないと思われるかもしれませんが、数学の本質は論理、つまりモノの考え方です。

数学というと数式というイメージが先行されますが、そもそも数学というのは論理が最重要な根幹であり、そこに数字が絡んでいるだけなんですね。今回の記事ではその数学の本質的なところを解説することで数学という分野の理解を深めてもらえると良いと思います。

ちなみに、この分野の教科書的な名称は「論理と命題」ですが、「命題」という用語の定義は先述の通り存在しますが、「論理」という用語に対する数学的な定義はありませんので、ここでいう「論理」とは数学での話の進め方みたいなものだと思ってもらえれば良いです。もっと簡単に「日常感覚的に論理的にものを考える」というような意味での「論理」という解釈でも問題ありません。

数学記号・用語「ならば」の意味と問題の解き方は?

さて、ここまでで命題とは何かは分かりましたが、このままだと簡単であまり問題になりませんね。ということで、次に命題の問題を少し大学受験数学に近づけていくために新しい数学の用語と記号を紹介します。

その用語や記号というのは「ならば」です。数学で「ならば」という言葉には特別な意味(つまり数学的な定義)が備わっており、これは数学の中で使用すると特殊な意味をもつ数学用語です。また、「ならば」は「$\Rightarrow$」という記号を使っても完全に同じ意味になります。

以下が「ならば」の定義になります。「ならば」は前後関係がある文章で使うので次のように定義されます。
〇ならば△ $\cdots$ 〇を満たすもの全てが△を満たす。
これが「ならば」という用語の数学的な定義になります。〇や△は数学としては「条件」という別用語で定義されますが、これは今回そこまで深入りせずに説明をしてみます(これは深入りせずとも本質を損なわずに説明可能なので)。

何はともあれ、この定義だけでは何がなんだか分からないと思うので、具体例を見てみましょう。以下具体例です。これを見ると〇や△も一目瞭然です。

「猫ならば動物」

さてこの文章を例に「ならば」の使い方として正しいかを確認してみましょう。定義通り考えればこの文章は猫を満たすもの全てが動物かどうか、ということになります(〇にあたるものが猫、△にあたるものが動物)。

「満たす」というのは「成立させる」ということです。ということでこの文章をさらに読解すれば、猫であるもの全てが動物かどうかということですね。

つまり「猫ならば動物」という文章の意味は、猫の中にはスコティッシュフォールドやアメリカンショートヘアなど色々いますが、その全てが動物かどうかということです。これは全て動物なので、「猫ならば動物」の「ならば」の使い方は数学用語として正しいです。

そのため「猫ならば動物」は正しいか正しくないかがはっきりと分かるため、命題であり、「ならば」の使い方として正しいわけなのでこの命題は真になります。

これが数学用語「ならば」の説明です。もちろん「猫ならば動物」という文章を「猫$\Rightarrow$動物」と書いても上述した通り、全く同じ意味になります。

数学の問題でも「ならば」を用いるか「$\Rightarrow$」を用いるかは問題作成者の好みや見た目上のバランスの問題なのでどちらのパターンもあります。とりあえず今回の記事では、これ以降「$\Rightarrow$」ではなく「ならば」で統一して書こうと思います。

ちなみに生徒さんの記述答案の文章中に日常用語感覚で「ならば」という言葉を使っている例などはたまにありますが、これは当然危険です。何故なら数学で「ならば」と言った瞬間上述したような特別な意味になるためです。なので皆さんも数学の答案でこの言葉の使い方には注意をしましょう。

論理と命題の反例が分からない?反例とは何か?

さてここまで2つのことをやりました。1つ目は命題とは何か、2つ目は「ならば」の意味(付随して「ならば」を使った命題)、ということですね。

ここで、「ならば」を使った命題でセットとなる話が1つあり、それが反例というものです。反例とは何かというと「ならば」を使った命題が偽のときに、偽となるような具体例のことです。

例えば先ほどの例題の「ならば」の前後をひっくり返した次の命題の真偽を考えてみましょう。

「動物ならば猫」
の真偽についてです。

これは先ほど同様に読解すると、動物であるもの全てが猫かどうか、ということですね。定義通りですが、この「全て」というところが重要です。

つまり動物には犬や猫や鳥や人間や色々いるわけですが、その全てが猫なのかどうかということですが、これは当然偽です(真なら我々人間も猫ということになりますしね)。その偽となるような具体例を反例と言います。つまり今回は「鳥」などが反例です(もちろん「鳥」以外でも偽になる例なら何でも良いです)。

「ならば」の命題が偽のときは、「ならば」の定義上1つでも違うものがあれば偽になるので、反例は複数挙げる必要はなく、1つだけ挙げれば良いです。また当然のことながら、「ならば」の命題が真のときは、反例は存在しません。

ここでよくあるミスとしての注意は「鉛筆」などは反例にはなりません。というのも「鉛筆」は猫ではないのでその点は良いですが、今回の命題は「動物ならば猫」とあるように動物であるもの全てが猫なのかどうかなので、そもそも反例は動物の中から選ばなければいけません。「鉛筆」はそもそも動物ではないので、これを反例とするとそれは誤りです。

論理と命題の問題の解き方・「ならば」と反例のまとめ

さてこれで論理と命題の重要な話が終了しました。やったことは2つです。

1つ目:命題とは何か
2つ目:「ならば」の意味。付随して「ならば」を使った命題と反例
この2つです。

これで命題と「ならば」の意味(付随して「ならば」を使った命題と反例)の理解は完璧です。

最後に超重要なことを一つ書くと、本記事は理解できるが数学の問題として文字や式が入ると解けないという人がいると思います。ただこれは「論理と命題の分野が苦手ということではない」ということに注意です。
上記のような人は次のような例だと分からなくなるということではないでしょうか?

$xy-x-y+1=0$ ならば $x^2+y^2-2xy=0$
の真偽などです(ちなみにこの命題は偽で反例は色々ありますが $x=1$ , $y=2$ などが一例です)。

もし仮に記事は理解できて日本語の文章なら解けるのに、この例が出来ないという場合は、因数分解などの式の扱いが苦手なのであって論理と命題が苦手なわけではありません。つまりその人の課題は論理と命題ではない部分にあります。

本記事が理解できて先述のような日本語のものなら解けるというのであれば論理と命題の部分に課題はありません。ここを混同してしまわないように注意が必要です。

論理と命題は数学の根幹の部分であるため、全ての数学分野に簡単に応用ができます。そのため、本来論理と命題が苦手ではないにも関わらず、それとは違う箇所の弱点の影響で論理と命題自体を苦手と思い込む人が多数です。

なのでこの分野のまず重要な話として「論理と命題」の分野が苦手な人は本当に「論理と命題」が苦手なのかをよく考えてみると良いでしょう。この分野に限らず数学は学習が進むと様々な分野が融合して絡んでくるため、「本当に苦手なものが何なのかをはっきりさせること」などは弱点克服に大きく関係してきます。

ということで「論理と命題」の最初の記事はこれで終了ですが、いずれこの分野の続きの内容として、「逆・裏・対偶」や「必要条件と十分条件」や「背理法」などについて、今回同様に数式を登場させずに記事を書いてみたいと思います(もちろん数式を登場させた数学の問題としてのバージョンもいずれは書こうと思います)。

弱点の把握などは一人ではやりづらいかもしれませんが、何か困った際は下記の大岡山学習会にいつでもご相談ください!

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